賠償責任保険被害者請求・16条請求評価損物件事故報告書不法行為平均余命別冊判例タイムズ第38号弁護士費用特約法定利息保険代位ホフマン係数保有者

賠償責任保険(ばいしょうせきにんほけん)

損害賠償の責任を負ってしまったり、損害賠償金を支払った場合に、保険金がおりるタイプの保険です。交通事故に関係する保険の基本となるもので、任意保険のメインとなる「対人賠責保険」や「対物賠責保険」は賠償責任保険に分類されます。自賠責保険も基本的には賠償責任保険です。交通事故では、加害者が賠償責任保険に入っているかどうかで、被害者の保護がおおきく変わります。車の交通事故以外では「個人賠償責任保険」というものがあり、日常の出来事で人に損害を与えてしまった場合に利用できます。自転車事故では、加害者がこの「個人賠償責任保険」に入っているかどうかで、大きな違いがでます。

加害者請求(かがいしゃせいきゅう)・15条請求(じゅうごじょうせいきゅう)

加害者が、自分で被害者に賠償金を支払った後に、その支払った分を自賠責保険に請求する手続きのことです。これは、自賠責保険の本来の姿と言えます。加害者が任意保険に加入していれば、実際は任意保険会社が手続をしますし(一括払制度)、任意保険に加入していない場合でも、被害者が被害者請求をすることが多いので、加害者自ら自賠責保険に「加害者請求」することは、あまり多くはありません。

被害者請求(ひがいしゃせいきゅう)・16条請求(じゅうろくじょうせいきゅう)

自賠責保険は本来、賠償金を支払った加害者に保険金がおりる保険(賠償責任保険)です。ただそれだけだと、加害者の協力が得られなかったために、被害者に保険金が支払われないという事態が起こる可能性があります。そこで、自賠責保険では、特別に、被害者が直接保険会社に保険金の請求をできる制度を設けています。これを「被害者請求」「16条請求」といいます。「被害者請求」には、本請求以外に、仮渡金請求と、内払金請求があります。

評価損(ひょうかぞん)

事故にあった車を修理してもらったが、修理をしたとしても、車の価値は下がってしまって、完全に元通りになるわけではない。その価値が下がってしまった部分の損害を評価損と言います。厳密には、技術上の評価損(実際に、完全に直りきっていない)と 取引上の評価損(完全に直ってはいるが、その車を中古車として売る際には「事故歴・修復歴あり」の扱いとなって、縁起が悪いとか何となく嫌だということで、値段が下がってしまう)があります。

物件事故報告書(ぶっけんじこほうこくしょ)

人身被害のない物損だけの交通事故の際、警察が作成する書類です。人身被害がある場合は、刑事事件になるので、警察は、捜査機関として様々な捜査をし、色々な書面を作成しますが、物損だけだと刑事事件にならないことが通常なので、作成されるのは簡単な報告書だけです。弁護士や裁判所経由であれば、取り寄せる手続があります。

不法行為(ふほうこうい)

交通事故で損害賠償請求するときの、基本的な法律の根拠で,民法に規定があります。不法行為で請求するときには、加害者の故意か過失が必要となります。ただ,交通事故では特別法として自賠法があり,人身損害については、被害者が過失等の立証をする必要がありません。そこで、人身損害については自賠法によって請求し、物損については不法行為で請求するということが通常です。

平均余命(へいきんよめい・へいきんよみょう)

ある年齢の人が、平均であと何年生きられるか、ということです。交通事故で、高齢者の逸失利益の計算や、将来の治療費の計算等において、いつまでの期間を基準に考えるかを決めなければなりません。縁起でもない話ではありますが、かといって、永久に死なないことを前提にするわけにもいきません。そこで、統計的に、あと何年程度生きることができるかという平均余命を使って計算します。平均余命は、厚生労働省が公表している簡易生命表に記載されています。

別冊判例タイムズ第38号(べっさつはんれいたいむず)

東京地裁民事交通訴訟研究会編の「別冊判例タイムズ第38号民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」のことです。交通事故の過失割合は、実務上、この本に基づいて判断されることが通常です。ただし,あくまで目安に過ぎないものですので,納得がいかない場合は弁護士に相談してみましょう。

弁護士費用特約(べんごしひようとくやく)

交通事故で被害者になったときに、弁護士費用が保険金から支払われる保険です。こちらが加害者になったときは、示談代行サービスということで保険会社が代わりに交渉をしてくれますが、こちらの被害をうけた分については、損害賠償や費用の請求など、相手との交渉を自分でしなければなりません。自分でする代わりに弁護士に依頼した場合にかかる費用を払ってくれるのが、この保険です。交通事故の被害にあわれたら、相手方保険会社との面倒な交渉ごとの窓口は弁護士に任せてしまうのがお奨めです。

法定利息(ほうていりそく)

交通事故においての法定利息は、年5%です。現在の金利情勢からすると高いのですが、そのように法律で定められています。遅延損害金計算の部分では、利息が高い方が被害者に有利ですが、後遺障害が残った場合の逸失利益の計算では、金利が高いと中間利息控除が大きくなって不利になります。

保険代位(ほけんだいい)

被害者の損害を、被害者の加入している保険会社が支払った場合、保険代位と言って保険会社が加害者に対して支払った分の保険金を請求することがあります。加害者が任意保険に入っていない場合で、被害者が人身賠償保険に入っているという場合に、よくある話です。

ホフマン係数(ほふまんけいすう)

逸失利益を計算する場合には、中間利息年5%の控除をします。1年後の105万円は今の100万円と同じ価値ということで、2年後、3年後・・の収入を同じように計算します。これを、いちいち計算するのは面倒なので、働ける年数に応じて、一定の係数を掛ければ簡単に計算できるようにしたのが、ライプニッツ係数とホフマン係数です。ホフマン係数は単利計算です。つまり、今の100万円が2年後には110万円であるとする計算方法です(100万円+5万円+5万円)。現在の交通事故の損害計算では、通常ライプニッツ係数を使います。

保有者(ほゆうしゃ)

交通事故では、被害者保護のために、交通事故を起こした本人だけでなく、保有者(車の所有者 等)にも人身についての賠償責任を負わせています。車の所有者でなくても、借りている場合は「保有者」になるのが通常です。加害者が任意保険に加入していない場合に、十分な賠償をしてもらうためには、十分な収入や資産のある人に賠償請求する必要があります。その場合は、誰が「保有者」として責任を負うのかを、しっかり調査することが大切になってきます。

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